光合成細菌は、22億年前地球上にまだ酸素が存在せずメタン・アンモニア・硫化水素などの有毒ガスが充満している過酷な環境の中で誕生して以来、自然界の環境改善に大きく貢献してきた原始的な微生物です。その種類は4科で構成されています。 

紅色非硫黄細菌

緑色硫黄細菌

紅色硫黄細菌

滑走性糸状緑色硫黄細菌

固定化菌体は、このうち紅色非硫黄細菌と紅色硫黄細菌をゼリー状の基質の中で培養したものです。
 
     
     
 

●紅色非硫黄細菌 Rhodospillaceae科
     有ロドバクター属で、各種有機物分解・硫化物悪臭物質の吸収できる性質をもつ菌体。
    ○嫌気的明条件(酸素がなく、光がある状態)下では、光合成反応(光利用)により
     有機物を同化(摂取→変化→利用)します。
    ○好気的暗条件(酸素があり、光がない状態)下では、呼吸(酸素利用)により有 機物を分解します。
     ですので、有機物のある状態下で、有機物・悪臭物質を消失させる効果を発揮します。
     有機物をエネルギー源とする。好気的また嫌気的条件下で光合成により有機物や悪臭物質を分解吸収
     する。

  ●紅色硫黄細菌 Chromatiaceae科
    クロマチウム属で、嫌気的明条件下で光合成を行い、二酸化炭素及び有機物を光 合成反応により、水素供与体として利用し生育する。嫌気的明条件(酸素がなく、光がある状態)下では、光合成反応の際、二酸化炭素を還元し硫化水素を酸化して、菌体内に硫黄として蓄積できる。すなわち毒性の強い硫化水素を除去し硫黄 に変化させる効果があり、硫化水素の発生がなくなるので水質を良くし、魚類生存 に好ましい環境になります。有機物分解過程で発生するアンモニアも利用して除去できます。
    (嫌気的条件下で硫化水素を利用して光合成を行う。この光合成では水ではなく硫化水素を利用するので酸素は発しない。この点、水から水素を得て酸素を放出する植物の光合成とは異なる。)

 
     
 


 
     
     
 

光合成細菌は土壌微生物で自然界に生存している微生物です。 光合成細菌を進んで研究が始められたきっかけは、人糞を畑などに還元する際、 肥溜めに2〜3週間ほど放置した時、『発酵が進み臭いが無くなる』、『表面に赤 い膜が張った』これが光合成細菌であることがわかりました。 この事で水圏環境下において劣悪な環境下でも、生存し、汚濁物質の分解・ 除去が成されていることから、この細菌の利用についての研究を進めてきました。

(光合成細菌が、自然界に確認されている場所)
●肥溜め
●下水溝
●下水道の汚泥
●硫黄泉の湧水する池や沼
●河川などの淀みがありヘドロによる硫化水素が発生する場所

これらは、光合成細菌の住処となり、浄化作用が行われているものの自然環境負 荷が浄化機能よりもはるかに大きいために環境汚染が進む一方になっています。 自然環境負荷に対して、環境浄化を行うためには劣悪な環境条件にも生存でき る微生物(光合成細菌)を人的に投入させる必要があります。

 
     
 


 
     
     
 

(光合成細菌が現在利用されている場所)
●河川・排水路の底泥のヘドロ中に含まれる汚濁物質の分解除去
●閉鎖性水域である池、沼における底泥のヘドロ中に含まれる汚濁物質の分解 除去及び水質浄化
●食品廃水の有機物、浮遊懸濁物質、窒素等を分解除去するための廃水処理施設
●ゴルフ場などの刈りかすの分解促進剤
●圃場などで春先から夏にかけての硫化水素発生による作物障害防止
●土壌改良


などに利用されています。

 
     
光合成細菌の利用につい
自然界における光合成細菌
光合成細菌
 


 
     
     
 

ここで、大きな課題は光合成細菌は液体状で培養、利用されていました。 例えば、排水路や池の場合ですと液体状のものを投入したところで、瞬時に拡散して しまい、底泥のヘドロにまで光合成細菌が行き届くことなく、浄化がなかなか難しくなります。
そこでこの液状のものをゼリー状に固め(固定化菌体)除放的に溶け出すことにより、 汚染されている底泥のヘドロ中に含まれる汚濁物質の分解除去を可能にしました。 また、維持管理が簡単で、大がかりな施設を必要とせず、自然浄化サイクルを復元、 自然に優しい処理方法であることから様々な方面から注目を浴びております。

 
     
課題及び開発
 


 
     
     
 
●容器内で生菌を増殖させている為、本来必要な光合成細菌を増殖させるこ とが出来ます。
●通性嫌気性菌のため、嫌気条件・好気条件の両方の環境に対応できます。
●光合成細菌をゼリー状で固定化する事で池や河川の劣悪な環境へ投げ込むだけ でヘドロなどの浄化を
  行うことが出来ます。
●固定化菌体を池や河川の劣悪な環境へ投げ込んだ時、急激な拡散により流れ出 す事なく除放的に溶け
  出すためヘドロの浄化を効率的に行うことが出来ます。
●固定化菌体はヘドロ中の硫化水素、有機物、窒素、燐などの除去に優れて います。
●固定化菌体は自然界に生存する土壌微生物で、自然界においての微生物と 共存関係にあり、生態系を
  壊すことはありません。
●固定化菌体は高密度菌体の状態で8ヶ月間保管できます。
●固定化菌体はヒメダカにより毒性試験を行ない、無害が実証されており環境 にやさしい菌体です。

固定化菌体光合成細菌をバランスよく配合することにより、さまざまな悪条件の環境に対しても非常によく適応し、しかも無害な微生物のグループができます。天然多孔質溶岩と非常に相性がよく、絶好の棲家で、吸着された水中の汚れを餌として、浄化効率を高めます。
●嫌気的環境に強い ヘドロのような嫌気的条件の中でも活発にはたらきます。悪臭を発する有毒硫化水素や有毒アミン、有機物、窒素化合物、リン酸塩などを光エネルギーを利用して分解し、無毒化して食物連鎖のサイクルに組み入れていきます。好気的環境でも成育します。

●油分に強い 含有量300ppmの汚水も直接処理します。

●低温・凍結に強い 水温零下の南極の氷の下の海岸土中でも生存が確認されています。

●耐塩性に優れる 30%の塩濃度の塩水湖からもよく分離されます。

●生物に優しい 魚類による毒性試験や長年の養殖業界での使用実績によって安全性が確かめられています。アミノ酸やビタミンを多く含有し、他の生物の餌にもなります。
 
     
固定化菌体とは
 


 
     
     
 

 固定化菌体は特に底質(ヘドロ)浄化に効果が現れます。
また、底質の浄化を行うことにより、汚染物質を減少させ、水中における水生 生物等が繁殖し易くなり、自浄作用の復元による水質浄化効果も得られます。
 ここで底質(ヘドロ)浄化を考えた場合、河川・水路・池等環境が全く異なります。
外的な流入負荷の状態・底質の汚染の程度等により固定化菌体の投入個数も異 なってきますので、事前調査が必要となります。
1) 過去の環境状況の聞き取り調査
2) 改善現場の付近の状況
3) 改善現場のヘドロの採取
4) ヘドロの杜内分析
5) 杜内分析結果により提案書作成
6) 提案書に基づいての施主との打ち合わせ
7) 現場実地

これらにより、提案・現場実地と進めさせていただきます。

 
     
固定化菌体を実地使用するにあたり